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120話 来客の準備

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-09-07 09:00:57

 森下さんが来ることが決まってから、私は少しそわそわしていた。

 来週の土曜日。

 午後。

 お菓子は森下さんが持ってきてくれるらしい。

 私はお茶を用意すればいい。

 それだけのことなのに、頭の中では部屋の片づけリストが勝手に増えていく。

 段ボールを全部潰す。

 床を拭く。

 台所を磨く。

 洗面所も見られるかもしれない。

 トイレも掃除しなければ。

 クッションカバーは洗うべきか。

 そこまで考えて、私は丸いテーブルに突っ伏した。

「……やりすぎ」

 誰もいない部屋で呟く。

 森下さんは、ホテルのチェック係ではない。

 花瓶監査見習いではあるかもしれないけれど、それも冗談だ。

 私は部屋を見回した。

 薄い青のカーテン。

 窓辺のクラゲとミモザ。

 水色の花瓶。

 丸いテーブル。

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